2018年 02月 19日
嫁がつぶれた日。
久しぶりに夫がワインが飲みたいというので、我が家にしては少し高めの(いつもチリ産の量が多くて安いやつである)国産の無添加ワインを購入し、ブルーチーズとつまみを買い込んだ。
即席のピザやパスタをこしらえ(トースターで焼くだけ、茹でて和えるだけという)、惣菜いくつかと、こたつの円卓にどんとワイングラスを二個置く。
ジャンキーな食卓に、息子は「パーティーや!」と大いに盛り上がっていた。
やはり、無添加でいいワインはおいしい。今まで飲んでいたワイン、あれはなんやったんやろう。オレンジジュースだと思って、ファンタをずっと飲んでいたという感覚に近いな、という結論に夫婦で至った。
夫はいつものように、サントリー対東芝のラグビーの試合(録画)を、ワイン片手に見入っていた。
途中、五歳の息子が「おとうさん、とくてんって何?」と、得点について質問すると、
夫は真顔で、
「トライが5点。トライ後のコンバージョンキックが2点。ペナルティゴールが3点。」と、答えていた。
ちがう、ちがう、それはラグビーの得点ルールやろ。息子が聞きたかったのは、「得点」って何?ってことや!得点という概念がわからんねや!と、頭の中で突っ込んでいたが、それも面倒臭くなったので、どこか腑に落ちない表情の息子をぼんやりと見つめていた。
ワインがすすみにすすみ、こたつに入ったまま寝てしまい、気がつくと遠くの方で「もう寝るでー」と夫の声が聞こえ、バタバタ動き回る息子の足が目に入った。
時計の針は0時をさしていた。
中々こたつから出られず、必死の思いで這い出ると、てんこ盛りの皿やグラスが流し台に山積みになっていたが、見て見ぬ振りして、横切って洗面所へ行った。
夫がテキパキと散らかった食器をまとめたり、残り物のおかずをラップしたりしている気配を感じる。
夫に息子の仕上げ磨き用の歯ブラシを渡すと、のそのそと二階へ上がって、そのまま倒れるように寝た。
翌朝、「そろそろ起きやー」と夫の声で目が覚める。
時計の針は10時30をさしていた。
カーテンを開けると、燦々と太陽の光りが差し込み、くらっとした。夜行性の動物の気分になったようだった。
「洗い物、全部やっといたし」と、夫。
あの山のような洗い物が、きれいに片付けられていた。
奇跡が起こったのだ。
わたしはまた、くらっとした。
「ありがとう!」
たまには酔いつぶれるのも、いいものだ。
by mosottto
| 2018-02-19 10:53
| エッセイ