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わたしは中国人ではありません


前に手相を観てもらった時に、おばちゃんに「あーた、海外と縁があるわね」と言われたことがある。

え、と思った。

海外なんてフランスとグアムという王道中の王道の(しかもツアー)ところへしか行ったことがないわたしである。

一方夫は、タイや台湾、ブラジルには一年住んで(公園で野宿もしていたそうだ)、メキシコをバックパッカーで周り、キューバに二年住んでいた人である。
キューバでは日本人には思われず、ボリビア人に間違われ、現地のキューバ人に「おまえキューバ人みたいやな」と言われたほどだ。

どう見ても、縁があるのは夫だろ!と思うのだが、ふと思い出した。

独身時代に住んでいたアパートでの出来事である。

同じ階に、魔法使いにしか見えない風貌のおばあちゃんが住んでいた。
アパートの入り口ですれ違った時に、

「ちょっとちょっと!あんた、どこの留学生や!」と、身を乗り出して迫ってきたので呆然としていると、

「中国か?!中国からの留学生か!」と、はっきり断言されたので、

「イエ、ワタシハ ニホンジンデス」と、なぜか片言口調で答えたら、

「ほー、中国から留学大変やな」と、わたしを中国人と間違えたまま、おばあちゃんは部屋に帰ってしまった。

それ以降も何回かすれ違う度に、留学生呼ばわりされていた。


あの日本人を超えた、魔法使いみたいな風貌のおばちゃんが、未だに謎である。




by mosottto | 2016-11-25 15:38 | エッセイ