夫が恋をした




「ああ、体がふわふわして何も手がつかない」

最近の夫の状態である。

やけにぼんやりしていて、遠い目で、とろんとしている。




夫が恋をした、メキシコに。




去年メキシコ人夫妻(旦那さんは演奏家)が我が家を訪問したのが縁で、メキシコという国と繋がりを持つようになった。
メキシコに行き、たくさんのメキシコ人やキューバ人らと親交を深め、自分たちの家族のように夫のことを世話してくれた彼ら。
帰国後は絵に描いたようなメキシコかぶれの夫である。


メキシコ人夫妻が我が家に来た時に驚いたことの一つに、彼らはシャワー後に大量の香水のようなものをばっしゃばしゃと体に振りまき、家中がその匂いで包まれるのである。
よく外国人の傍に行くと、きつい香水の匂いがするが、そんなかんじである。
それが彼らの普通の身だしなみなのだ。


帰国後夫は香水をつける習慣がなかったはずなのに、うれしそうにメキシコで買った香水を体に振りまき始めた。

待ってくれ。
ここは日本だ。
お前はこってこての日本人なのだ。

心の中でそう思って夫をしげしげと見ていると、

「ああ~なつかしい、この香り。思い出すなあ~」と、にやにやと物思いにふけっている。

その香りをかいだわたしの反応は、一言で、
「くっさ!」である。
出産後、匂いに敏感になり、よく売られてる市販のシャンプー、欧米系柔軟剤、もちろんきつい香水の匂いが全部受け付けられなくなった。

「くっさ!」を連発もするも、夫は我関せずで、終いには「そのうち慣れるよ」
ふざけるな、このやろう、である。
あまりにも臭いので、外でつける分には自由だが、車内などの密室ではつけるな、と禁止令を出しておいた。

夫が恋してそんな迷惑なこともあるのだが、恋の効能がいい方に作用したこともある。
感情表現の起伏が激しい夫の性格が穏やかになり、あまり小さなことで怒らなくなったことである。(以前は朝からミクロレベルのことでキレていた)

恋ってすごい。

すごいが、近いうち、恋するメキシコに家族で訪問することになりそうな気配で、頭がぼんやりしてきた。
そしてまったくメキシコに興味のないわたしが、一番メキシコかぶれになりそうな気配を若干感じつつ、もう、日本は春がやってくる。








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Commented by kirin_1117 at 2017-03-10 18:56
爆!
面白すぎる旦那さん。
幾つになっても恋する気持ちだいじだいじ*^o^*/
Commented by mosottto at 2017-03-11 11:44
>kirinさん

そんな風に何かに夢中になれるって、身近にいる人間からみても面白いです。
機嫌よしで、尚よしです^^
by mosottto | 2017-03-10 14:20 | エッセイ | Comments(2)