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ラグビーとどんぐりスープ


休日の午前中、だだっ広い公園で、突然わたしはラグビーの練習をさせられることになった。


夫がラグビー部だったので、五郎丸が騒がれる前から、ずっと息子にラグビーを教えようと、子供用のラグビーボールを買って鼻息荒くしていたのだ。

しかし、2歳(当時)の息子は、まったく関心を示さず、4歳になる今でも気持ちいいくらいに無関心だ。

途方に暮れた夫は、隣でぼうっと立っているわたしに狙いを定め、ラグビーボールを投げてきたというわけだ。


ほとんど夫の練習につき合わされている。

ラグビー経験者でもなければ、運動能力ゼロの嫁をつかまえて、ラグビーって、どういうことなんだ。


走ってパスするという、ランパスに始まり、夫が蹴ったボールを取りに行くなど、ほぼしごきに近い。

しかも、夫が加減したボールを受け止めるのでも、結構な力がいる。


「うおっ」「ごっ」「だはっ」「のうっ」
など、人生で出したことのないうめき声が出てきてしまう。

うめく度に、夫は「だはははは」と、遠くで笑っている。

心の中で「このやろう」と、思いながら全力で夫に投げ返すのだが、ゆるやかな放物線を描いて、「ぱすっ」と軽い音をたてるだけだった。

自分の腕力、肩の弱さにへどがでる思いだった。



ラグビー千本ノックを受けてる間に、息子はどうしてるのかというと、公園に落ちてるどんぐりを皿に入れ、どろどろの水を入れて、木の棒でかき混ぜていた。

「どんぐりスープ作ってんねん」と、息子は息子でなんだか忙しそうだ。


思い切りボールを投げる夫に、欽ちゃん走りでボールを追いかける嫁、そしてすごくえぐそうなどんぐりスープをつくる息子。
もう、わけがわからない。

そんな平和な休日だった。



by mosottto | 2016-11-01 09:58 | エッセイ